暗号戦史
「ニ行 作品」
作品名 日米暗号戦争1 山本五十六の最期   (「歴史への招待27」所収)
著者名 豊田 穣、 長田 順行
発行日:S58.10.1
出版社:日本放送出版協会
形式:B5
目次
「なし」
ストーリーの概要
連合艦隊司令長官・山本五十六の死は、実は長官の南方視察に関する電報をアメリカ側が分析して、待ち伏せ撃殺をはかったものだった。
日本の暗号戦敗北の経緯を証言者でつづる。
「アヒルの中に一羽の孔雀がいたようだ」連合艦隊司令長官機を撃墜したアメリカは、こう表現した。それは日本にとって、一長官の死にとどまらず、暗号戦争の敗北をも意味する重大事件であった。

暗号について
*写真:特定地點略語表(甲)、長官行動予定電報を解読した米軍資料、山本元帥国葬関係綴、他
・ 暗号戦のターニング・ポイント
  S18.4.18:山本長官の死は、暗号戦のターニング・ポイントだった。
  S28・松山沖で伊三三潜水艦から旧海軍の暗号書表が引き揚げられた。暗号の使用法が分かる。
・ 長官機撃墜さる
  4月13日:「い」号作戦の視察予定の暗号電文発信、4月18日0600、ラバウル出発、0740撃墜される
・ 暗号でやられた!
  ゼロ戦パイロット・柳谷謙治:態勢から待ち伏せは間違いない。基地では「暗号にやられた」と噂。司令官からは緘口令。
  軍令部通信課長・鮫島素直:何かの方法で情報が取られた。
  連合艦隊参謀:土肥一夫:何かあったとき最初に考えるのは暗愚の解読。
  南東方面艦隊の草鹿長官は、山本長官視察電報と同じ暗号を使い、自らの視察を打電。囮作戦を実施、敵機姿を見せず。
・ 捕虜になった一人のパイロット
  豊田:鑑爆が撃墜され捕虜になる:米軍の取調べ・・・山本長官が本当に死んだかどうか。暗号解読をどう考えているか。
・ 「解読ハ不可能ナルベシ」とした報告書
  山本元帥国葬関係綴り:4.22付け「事故調査概要」:ひたすら偶然説に導く。結論は暗号解読ハ不可能
・ 繰り返し打たれた電報
  米太平洋艦隊暗号解読班主任・ダイヤ大佐:毎日500〜600通の電文傍受、流れ作業で何百人の人間が分担解読。
  視察電報:「波」暗号、機密第131755番電(13日17時55分に命令賢者が決済)。長官の視察を詳細に打電。
  鮫島:こんな詳しい予定を打ってはいかん、機密保持の原則。
  ラバウルから、第8通信隊の放送通信系と南東方面艦隊司令部の一般短波系のニ系統で送信。・・・・米解読班が注目
・ 発見された解読電文
  米公文書館:解読電文の冒頭に「131755」の数字。14日0009傍受。解読は15日12時5分。概要は14日2008報告。
  長田:暗号を解いていった過程が分かる。幾つかの不明箇所があるのも自然。
  太平洋艦隊司令長官・ニミッツは、情報参謀・レイトンに意見を求める
  レイトン:山本の後継者はいない(彼は精神的リーダー)。トップを失えば士気も衰える。時間に正確。
・ 野郎をやっつけろ!
  実行すれば暗号解読の成功がばれるのでは?
  ルーズベルトの決心:実行を命令
・ 犯人は陸軍暗号?
  鮫島:調査委員の西尾少将と金子少将の報告:怪しい点はなし。陸軍が同一電報を打電。これだと思った。
・ "ほかのだれかさ、おれじゃない"
  レイトン:日本外軍が陸軍の暗号ばかり調べているのを知り、スケープゴート探しだと笑った。
・ 一つの火花だった山本長官の待ち伏せ撃殺
  豊田:暗号は両刃の剣。暗号を含む情報、補給、エレクトロニクスを整備すべきだった。米の情報努力、技術に負けた。
  鮫島:戦後、海軍か陸軍か米軍に確認。[N]に丸を付けられ、ショック。
*日本暗号戦史:長田順行
 大正の初めから太平洋戦争に至る機関について、外務省並びに陸海軍の暗号分析の状況を紹介。
*解読ができなければどうする:中牟田研一
 理論的解読の他、盗写。通信解析による情報分析
*暗号泥棒の話
 暗号解読のための関係資料や機械を手に入れる。・・・英国美人スパイ・シンシアが真の暗号泥棒
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