海外の暗号小説
第33話 辻井 重男氏に「高柳記念賞」 H18.12.18
12月13日の日刊工業紙によると、高柳記念電子科学技術振興財団は、2006年度の高柳記念賞に情報セキュリティ大学院大学の「辻井重男」氏を選出したと報道した。
真におめでとう御座います。

受賞理由は「情報通信における情報セキュリティー技術および暗号理論の研究を評価」とある。

辻井氏は、日本における現代暗号の第1人者と言っても過言ではないのだろう。
少なくとも私は、ちょうど10年前、辻井氏の著書「暗号―ポストモダンの情報セキュリティ」を読んだ時、「この人はすごいな。過去においては長田順行氏が暗号の大家として日本の暗号界を背負ってきたと認識していたが、辻井氏の暗号に関する深い機能を感じ、、暗号社会の時代の流れ、変化を認識した。」ことを思い出す。

暗号の専門家でもない私には、コンピュータ時代が到来しつつある当時、専門家がどのようにして現代暗号への取り組んでいるか知る由もなく、長田氏の暗号理論を中心とするアナログ的な暗号しか目にしたり耳にすることもなかったのであるから。

辻井氏は、東京工業大学工学部電気工学科を卒業され、現在は情報セキュリティ大学院大学学長、中央大学研究開発機構教授、東京工業大学名誉教授である。
今までに、「電子情報通信学会論文賞」、「業績賞」、「功労者賞」、「IEEE Fellow」、「第三千年記記念賞」、「電波の日総理大臣賞」、「第55回放送文化省」等を受賞されている。

著書には「暗号―ポストモダンの情報セキュリティ」、「暗号と情報社会」、「電子社会のパラダイム」等がある。

高柳記念賞は、「テレビジョンの父」といわれる高柳健次郎氏が、「産業の基礎である電子工学の分野において独創性のある研究開発を見出し、これを育成するあるいは功績者を顕彰する事を目的」として、氏の私財を基金として1984年10月に設立した「高柳記念電子科学技術振興財団」が、毎年優れた研究業績のあった研究者に贈る賞である。

過去の受賞者の功績内容は良くわからないが、今回「暗号の研究者」が受賞したことは、暗号に興味を持つ私にとって嬉しい事である。

残念ながら、一般紙や、ネットのニュースでは報道されていないようだ。
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