海外の暗号小説
第51話 日本の宝島・・・・黄金虫の記事を読み思う H20.1.6
毎週土曜日の読売新聞・夕刊に、「ライブラリー」と言う特集ページがある。著名人が「名作ここが読みたい」と言う趣旨でお気に入りの本を紹介するページだ。
平成19年7月7日の記事は、ピアニストの青柳いづみこさんが、E・A・ポオの「黄金虫」を紹介している。
新聞を開いた瞬間、暗号小説の紹介に胸が躍った。(それにしては暗号余話に書く時期が遅い!)

本サイトでも、「黄金虫」については、海外小説のページに既に紹介している。

『新聞記事の要旨』
北米のサウス・カロライナ州チャールストンに近い小島に隠遁していたルグランドは、海岸で黄金虫と一片の羊皮紙を手に入れる。それを日に近づけると、髑髏と子ヤギの絵、さらに数字などが並んだ暗号文が現われる。海賊のキッド船長が残した財宝のありかだ、と直感した彼は解読し、見事に財宝入りの箱を掘り当てる。

紹介されている「引用文」は暗号文を解読した方法を説明する場面。

*そこで8をeと仮定しよう(見出し部分)
「英語で一番良く出て来る文字はeだ。それからはaoidhnrstucfglmwbkpqxzとなる。・・・・・」
"the"を判明するまで載っているが省略する。このサイトをご覧になっている貴方は既に読んでいるでしょうから。

*青柳さんのコメント
「映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」が人気だが、元祖カリブの海賊といったらキッド船長。ポオの『黄金虫』は、その隠し財産をめぐる物語である。
羊皮紙に書かれた暗号を、ルグラントが解読し首尾よく宝を発見するまでの経緯もじゅうぶんおもしろいが、なんといってもわくわくさせられるのが種明かしの場面だ。(略)
私が『黄金虫』を読んだのは小学校時代ではないかと思うが、チンプンカンプンな暗号を前にかなり強引な当て推量をまじえてぐいぐい謎を解いていくルグラントの手口にしびれた。

考えてみれば、評伝などを書くときの私も、ある一つのことがらを手がかりに、対象の人となりや趣味の傾向を当てはめて推理するようなところがあり、そんなモノの考え方や書き方を『黄金虫』は教えてくれたような気がする。」

・小学生のとき読んだのですか。私は高校生かな?

* そこで本日の主題に入る・・・「海賊キッド」「財宝」と来たので思い出した。
皆さん、日本に「宝島」があるのをご存知ですか?

・鹿児島県十島村のトカラ列島にある。鹿児島から奄美大島の間に点々と連なるトカラ列島の最南端の人口100人ぐらいの島。
・十島村宝島出張所の前にある案内板には、「スチーブンソンの小説『宝島』のヒントになった。イギリスの海賊キャプテン・キッドが連邦裁判で『宝を隠した』と証言した島でもある」と書いてある。
・観音堂のある大鍾乳洞がその場所ではないかと言う説。・・・ハブがいるそうだ。
・イギリス坂近くのお宮を立て直したとき、地下から平家の落人の遺物と見られる「宝物」が出たと言う。また、島には昔、金や銅を試掘したあとも残っている。
・1937年2月5日の全国紙に載った新聞記事。例えば中外商業新報(日本経済新聞の前身)の社会面に「本當か?夢のような話」「確かに日本領土に金貨が1億ドル埋もれてる」とある。
 これは身元不明の米国人から外務省に届いた英文の手紙で「キッドが1630年から40年にかけて東シナ海を荒らし、財宝を台湾と日本本土の間の西南諸島に隠した」と言う内容。
 キッドが日本近海まで進出していたと言う証拠はないが、地理的な位置と島の形から『宝島』ではないかと大騒ぎになった。
・若い頃宝探しをしたという「前田彦雄」さんは、島にはまだまだ知られていない鍾乳洞も多い。どこかに隠されているかもしれない」と言う。
・面白い島ではないか!! 夢がある。

* そこで島の観光関係者に提案:
 暗号で書かれた地図あるいは、観光案内を作成し、暗号を解きながら島内を観光させる。
 オリエンテーリングのようにして、第1の暗号を解き、その場所に行ったら次の暗号が示され次の場所に行く。すべて回ったら「宝物」(お土産等)が手に入る。
 暗号、海賊キッド、宝物を上手く組み合わせて楽しみながら島内を巡る。いかがでしょうか?


*この宝島を取り入れた小説が吉村達也の『宝島の惨劇』である。
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