日本の暗号小説
作者名 斉藤 栄
 さ〜な                        は〜わ
作品名 殺人源氏物語
斉藤ー源氏 初出版:1995.9:カッパノベルス

発行日:1998.5.20
出版社:光文社
形式:光文社文庫
目次
1 いじめ       2 遺書ノート
3 父の愛人     4 火の殺人
5 死の真相     6 夕子失踪
7 どんでん返し   8 女、女、女
9 黒い男      10 襲われた者
11 元八幡      12 最後の事件
ストーリーの概要
日美子の友人・秀美の弟で、高校生の栄次郎が自殺した。彼の遺したノートには「殺人源氏物語」というタイトルとメモ書きが・・・。いじめに対する復習のミステリー?日美子は「源氏物語」の光源氏を巡る人間たちの相関図と照応させながら、いじめっ子の特定を図った。だが、彼女の推理を嘲笑うように、次々と殺人事件が。源氏の意味が源平の源氏だと気が付き改めて推理するとまた殺人が。
暗号について
遺されたノートのメモにあるアルファベットは何を示すのか?暗号としてはやや弱いが、言葉の謎解きとして含めた。
作品名 殺人の棋譜
S41:第12回江戸川乱歩賞

発行日:S51.3.15
出版社:講談社
形式:講談社文庫
目次
1 挑戦者
2 VHF
3 定山渓の対局
4 逃走
5 台風と殺人
6 第3の影
7 終局
ストーリーの概要
子供の誘拐事件とプロ棋士の対局を組み合わせたサスペンス。
河合真吾八段は新聞社主催の将棋最高位決定戦の挑戦者に決まった。三歳になったばかりの娘万里が誘拐され、身代金1千万円を要求される。真吾は、半分の500万円を義父に出してもらい、警察の指示に従い紙幣の番号を控え、犯人の要求通り包装した札束を軽飛行機から投下する。しかし、万里は返されず、生死さえ分からないまま対局の日を迎える。
定山渓での第1局、真吾は逆転勝ちを収める。警察は軽飛行機に無線電話をかけた男の線から犯人の月丘を割り出す。月丘は真吾の同級生だった。月丘の部屋を吸収すると、殺されており、共犯の坂本は逃亡していた。有馬温泉での第2局、真吾は完敗する。やがて坂本の死体が発見される。真犯人は誰か!残された紙片は何を意味するのか。
暗号について
殺された坂本の財布に入っていた紙片に書かれていた何らかの記号番号「荷一五三六四」の意味は。
作品名 殺人平家物語
発出版:1995.11:光文社
     (河童ノベルス)
発行日:1998.11.20
出版社:光文社
形式:光文社文庫文庫
目次
1 平家琵琶           2 射殺の謎
3 神鍋高原平山荘      4 黒子恋人同士
5 平家の妻           6 消えた清美夫人
7 小さな貸金庫        8 木屋平村
9 自殺死体          10 平丈太郎
11 五線譜           12 諸行無常
ストーリーの概要
日美子の友人、小野寺一代の夫・昌の射殺死体が、北近畿の神鍋高原で発見された。昌は兵庫県出身の国会議員・平春樹の地元運転手。事件捜査に乗り出す日美子の夫・二階堂の前に、小選挙区制に絡んで県会議員・平丈太郎の確執が浮かぶ。やがて第2の恐るべき惨劇が。平家の末裔達が繰り広げる愛憎と殺意の謎。
暗号について
平家琵琶の平曲の譜面に謎が。おたまじゃくしの記号そのものが暗号となる。発見した五線譜の下書きが、図示されていないので、やや理解しにくい。本の冒頭にある平家物語の一節も暗号になっている。
作品名 三色の告白 (ワンダー暗号ランド所収)
初出稿:「推理」:S46.8
目次

「なし」
ストーリーの概要
三色は、碁石の白・黒と、犯人のはいていた靴下の色・赤と思われる。囲碁界を支えた重鎮・樋口8段は、自宅を改造した囲碁道場の披露パーティで、殺害される。関係者は最後まで残っていた5人。碁盤の上の奇妙な碁石の配置は何を意味するのか。最後のどんでん返しが面白い。
暗号について
死の直前に被害者が現場に残した碁石によるダイイング・メッセージ。
作品名 四国綾歌殺人ワールド
初出版:1995.12:徳間書店

発行日:1998.10.15
出版社:徳間書店
形式:徳間文庫
目次
1 開幕       2 殺人その一
3 消えた死体   4 捜査1
5 殺人その二   6 ウェルカムプラザ
7 捜査2      8 殺人その三
9 交通事故    10 捜査3
11 フィナーレ   12 閉幕
ストーリーの概要
日美子は、急成長したゲーム会社・TTOの社長、田中から香川県のリゾート、レオマワールドに招待される。おりしも常務の高山に「123 567」という数字だけの奇妙な手紙が届いた。不振な出来事の続く中で、日美子は遊覧船から突き落とされる男を目撃する。しかし、犯人も死体も忽然と消えてしまう。
暗号について
「123 567」の意味は。暗号としては極めて弱いが、記号の解読という意味で含めた。
作品名 城ヶ島殺人旅情
初出版:H元.6:ノン・ノベル

発行日:平成6年1月30日
出版社:祥伝社
形式:祥伝社ノン・ポシェット(文庫)
目次
1章 片恋
2章 心中
3章 白秋
4章 死体
5章 陥穴
6章 虐殺
7章 香港
終章 追跡
ストーリーの概要
ベルトラベル社員理香は親友の安里から恋人が謎の暗号を残して行方不明になったと相談を受ける。小早川警視正は、政界汚職事件の重要参考人・伊藤が、クラブホステスと自殺をしたという事件に遭遇した。やがて、安里が自殺を装うって殺害される。そしてその容疑者も。
暗号について
恋人の好きだった北原白秋の「片恋」と、日記のメモ「みすたくまか」の関係は?片恋の特徴はリフレインにある。これが鍵か。
作品名 女高生俳句殺人事件
発行日:昭和59年9月10日
出版社:光文社
形式:光文社文庫

「書き下ろし」
目次

1 愛人
2 人妻
3 女高生
ストーリーの概要
憲民党総務会長・友納議員は、愛人との間にできた娘を誘拐されたが、立場上事件を表ざたに出来ない。対立する政治家との駆け引き。更には正妻との葛藤。党費使い込みの隠蔽。秘書夫妻の活躍による犯人探しと、真理子救出作戦。友納は身代金を払う代わりに自分では実行できないあることを犯人に依頼した。
暗号について
誘拐された娘が生きている証拠に送ってきた手紙に俳句が。その意味は。
殺された友納は、雑誌の中のローマ字で書かれた俳句を指で指していた。その俳句から犯人の名前が>
作品名 女子大生短歌殺人事件
発行日:昭和59年9月10日
出版社:光文社
形式:光文社文庫
目次
第1章 観光国の事件
第2章 短歌の謎
第3章 納骨堂にて
第4章 日誌騒動
第5章 里奈誘拐
第6章 執拗な攻撃
第7章 第3の男
第8章 青春と犯罪
ストーリーの概要
女子大生の則子と里奈の故郷岡山県の鬼有と言う過疎村は、昨年4月アリアンス共和国と言う観光国を発足させ、観光客誘致にに乗りだした。1周年記念の祭典に帰国した二人は次々に起こる殺人事件に遭遇。ダイイング・メッセージ「百分の五十二」、「桃源寺に」の謎解きにかかる。二人は誘拐や殴打事件に巻き込まれる。
暗号について
「百分の五十二」は、百人一首の52番目の歌か?短歌に暗号で何か隠されているのか?
作品名 女流棋士誘拐事件 (女流将棋殺人事件所収)
初出版:S62.11:双葉社

発行日:1989.10.15
出版社:双葉社
形式:双葉文庫
目次

「なし」(短編)
ストーリーの概要
売れっ子高校生棋士花柳真子の手柄話。中学3年の棋士仲間の天童静江が、誘拐された。犯人から切手のない封筒が届き静江の手紙と詰将棋が出てきた。犯人から身代金の要求があり、引渡し場所で逮捕しようとするが失敗する。
暗号について
詰将棋による暗号メッセージ。詰将棋を解く手順に鍵が?
作品名 新・殺人の棋譜
初出版:S59.5:講談社ノベルス
 (受賞作家推理シリーズ・乱歩賞
スペシャル:乱歩賞30回記念作品))

発行日:平S63.3.15
出版社:講談社
形式:講談社文庫
目次
1 名人と天才
2 伝書鳩と犯人達
3 行方不明と怪死事件
4 別荘地と包囲網
5 棋譜と暗号
6 血と謎
7 銃声と処刑
8 最終局
ストーリーの概要
万里を再び襲う凶悪事件。父の河辺名人は、定山渓でタイトル防衛戦第2局を戦う最中。万里は、軽井沢の山荘で逃げ込んできた銀行強盗の4人組に人質・監禁される。タイトル戦の挑戦者山本8段の命がけの活躍。犯人の中に思わぬ亀裂が。
暗号について
食料を届けた母親の手の中に万里は、敗れた寄付を押し込む。破れた棋譜では何の意味も成さない。何の書き込みも見もない。山本8段は、紙片をすかしてみると。
作品名 漱石「虞美人草」殺人事件
初出版:1993.11:学習研究社

発行日:1996.5.3
出版社:中央公論社
形式:中公文庫
目次

前編

後編
ストーリーの概要
二重構造ミステリー。前編が、作中作。後編はその作者が殺されるという仕組み。「虞美人草」の長い会話が怖い。この不可解な言葉をキーワードとした暗号小説を遺して日美子の友人・梶川由良子が殺された。旧友3人と共に死体を発見した日美子は、彼女の遺作にダイインング・メッセージを読み取ろうとするが。漱石の名作を素材とした二重構造の暗号ミステリー。
暗号について
作中作が暗号ミステリー。誘拐された短大生が発したSOSが暗号。そして後編の中にも暗号が。そしてその鍵は前編に。
作品名 タロット日美子のJR推理
初出:「週間大衆」:S61.10〜S62.6.8
 「殺人旅行二万キロの女」
初出版:双葉ノベルズ:S62.8

発行日:平成8年12月1日
出版社:廣済堂出版
形式:廣済堂文庫
目次
1 弁護士の死
2 悪女達の宴
3 青森へ
4 妖女の死
5 罠か?
6 犯人の愛
ストーリーの概要
一人の弁護士が長野市へ向かう車中で毒殺された。彼はある富豪の依頼で遺言書を作成し、それにサインをもらいに行く途中だった。富豪は妻の他に二人の愛人と子供たちがおり、かねてから遺産を巡って反目しあっていたが、日美子は愛人の一人由利子に頼まれて遺言書の写しを手に入れることに成功する。その遺言書は暗号で書かれていた。日美子は暗号の謎を解くため、書かれていた特急列車の旅に出る。正妻の優見子、その娘、富豪の妹等次々に殺害され、その富豪も病死する。
暗号について
遺言書は、JRの特急列車等の10の電車名が書かれていた。もう一枚の紙には、その鍵となるような文章が。
作品名 津軽海峡の愛と殺人
発行日:平成年月
出版社:
形式:文庫
目次
プロローグ
1 動く密室      2 蒸発した犯人
3 たばこの世界   4 女の輪舞
5 うみねこと殺人  6 殺意と接点
7 灰色の密室    8 偽装の憎悪
9 盗聴        10 搭乗者の真相
11 囲碁名人戦   12 オホーツクの海
13 最後の真相
ストーリーの概要
青函連絡船内で、日本専売公団の企画開発部長・友納が殺害された。犯人と思われる同室の男が消えた。鉄道公安員・青柳は、警察に対抗しプライドを賭けて捜査を始める。被害者の妻・亜紀子は、新たな殺人事件の容疑者として浮かび上がり、失踪する。青柳は、彼女に引かれながらも後を追う。友納の部下・隅田の不可解な行動と、友納を恨む女・美智子の関係は。
暗号について
隅田は美智子と連絡するために電話をかけるが、通話せずに呼び出し音だけで切る。それを六回繰り返した。隅田の病室から、囲碁名人戦の棋譜が見つかる。電話の信号音と棋譜の関係は?
作品名 徒然草殺人事件
初出版:S50.2
     :光文社カッパノベルス

発行日:S56.6.25
出版社:集英社
形式:集英社文庫
目次
1 謎の弔電
2 水道の公害
3 二つのヒント
4 死者の伝言
5 影の距離
6 兼好の足跡
7 もう一人のX
8 プロン紐の秘密
9 オセロの苦悩
ストーリーの概要
水道局員・早島が新婚早々、勤務先の浄水場で他殺体となって発見された。続いて起こる早島の仲人役・酒井省三の殺害事件。手に残されたオセロゲームの石は、ダイイング・メッセージか。新妻ひとみは、雑誌編集者明子の協力を得て早島の過去を追い真相追及に走る。
暗号について
酒井の残した徒然草研究の草稿原稿の最後のページに目立つように数字が四つ並んでいた。何を示すのか。徒然草に関係があるのか。
作品名 日本国憲法殺人事件
初出版:S58.9:講談社ノベルス

発行日:S61.8.15
出版社:講談社
形式:講談社文庫
目次
1 疑惑の新薬剤
2 ミレーの傑作
3 青木教授の影
4 不思議な暗殺
5 連続放火魔
6 消えた法学部長
7 靴と車と死体
8 日本的な最期
ストーリーの概要
「天地製薬のチミドールの実験データは、幸徳大の青木教授が捏造した」もの、という匿名投書が東邦新聞社にあった。偶然この抗生物質によるショック死事件が続いて起こっていた。その矢先実験の鍵と思われた男が怪死した・・・くちなしの花の中で。遺された憲法条文の切り抜きは何を意味するのか。
暗号について
日本国憲法の条文と「チャタレー夫人の恋人」の関係は。書籍による複式媒介法。影山荘一氏の解説が面白い。
作品名 日本宝島殺人事件
発行日:1983.1.31
出版社:徳間書店
形式:TOKUMA NOVELS
目次
第1章 女が消えた        第2章 温泉宿の女
第3章 女の曲芸師        第4章 柔肌の地図
第5章 泉島への出航      第6章 激しい闘争
第7章 復讐の魔手        第8章 少年の危機
第9章 男たちの反乱       第10章 連続怪殺人
第11章 財宝の行方
ストーリーの概要
新聞記者・藤木は、暴力団に追われた美貌の日戸津人妻・夕子を匿う。彼女は、公明な俳人・都丸鯛介の娘で、姉の洋子は四国道後温泉で芸者をしていた。意外なことに姉妹の背には何故か鯛介によって不思議な刺青が彫られていた。一方、全国制覇を狙う暴力団・深沢組は、鯛介が埋蔵した秘宝の存在を知り、姉妹を追う。藤木・姉妹対深沢組の秘宝を巡る闘い。
暗号について
鯛介が書き残した松尾芭蕉の古句「古池や・・・」に隠された暗号が。
作品名 日本のハムレットの秘密 − 天才少年遺言の謎
初出版:S48.8:講談社(四六版)

発行日:平成3年4月20日
出版社:祥伝社
形式:祥伝社ノン・ポシェット(文庫)
目次
1 華厳経由来      2 ホレーショの哲学
3 明治の新聞記事   4 六十日目の死体
5 ペスト論        6 巌頭之感の謎
7 華厳経と暗号     8 十字品の構成
9 隠された終焉の地  10 生き証人
11 あとがき
ストーリーの概要
推理作家である私は古本屋で、藤村の署名のある「華厳唯心義釈義」購入から謎は始まる。ある時、藤村操の孫であると言う謎の女の訪問を受ける。操は、明治36年、華厳の滝で有名な「巌頭の感」を遺し、投身自殺した旧一高生である。自殺した青年に孫がいるはずがない。しかし、偽装自殺であったとすれば?大学の友人の安東警部のベッド・ディテクティブによる謎の解明に入る。
暗号について
哲学的名文に隠された暗号。長田順行氏が、「推理小説と暗号」の中で、暗号小説ベスト3の一編に挙げている。創作ではなく、実在する名文の中から暗号を読み取るアイデアは素晴らしい。
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